妊娠中や出産後、育児中などの場面ごとの経済支援制度について知りたい方もおられるのではないでしょうか。検診や出産、育児には費用がかかりますが、これらを支援してくれる制度がいくつかあります。
本記事では、妊娠中・出産後・育児中にもらえるお金についてご紹介します。また、それぞれの経済支援制度やよくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中にもらえるお金
まず、妊娠中にもらえるお金について解説します。
- 妊婦健康診査費の助成
- 出産・子育て応援給付金
- 傷病手当金
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.妊婦健康診査費の助成
1回にかかる妊婦検診の平均費用は5千円程度なため、全額を実費で支払うと総額10万〜15万円ほどかかってしまいます。しかし、妊娠は病気ではないため、治療が必要な緊急時を除いては基本的に健康保険は適応されません。
このため、自治体で妊娠届出後に交付される補助券を用いて、検診費用の一部を補助してもらえる制度があります。妊婦検診の際には、補助券を病院の窓口で提出すると、検診費の負担が減り、より安心して必要な医療を受けられます。
2.出産・子育て応援給付金
出産・子育て応援交付金は、妊婦や子育て中の家庭をサポートするための新しい相談支援制度です。この制度は2023年1月から開始され、妊娠期から低年齢期の子育て期間が対象です。
対象となるのは、区市町村に妊娠届を提出した妊婦で、給付金として50,000円相当のクーポン券が支給されます。このクーポン券は、子育て関連用品の購入に利用可能です。
また、両親学級や産前・産後ケアなどのニーズに応じた支援も充実しています。
3.傷病手当金
傷病手当金は、健康保険に加入している労働者が病気や怪我で仕事を休む際に生活を支えるための制度です。傷病手当金は最長で1年6か月間支給され、給与の約67%が支給されます。
また、つわりや切迫早産などの妊娠関連の病気も対象です。申請には医師の診断書が必要で、自宅療養中でも医師の意見書があれば支給対象となります。職場復帰の意図がある場合に限り支給されるため、詳細は勤務先の担当者や健康保険組合に確認しましょう。
出産後にもらえるお金
次に、出産後にもらえるお金について解説します。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.出産育児一時金
健康保険から支給される出産育児一時金は、出産に関連する費用をカバーするための制度です。基本的には、子ども1人につき50万円が支給されます。
しかし、産科医療補償制度に加入していない病院で出産した場合や妊娠22週未満での出産の場合、支給額は48万8,000円に減額されます。また、出産育児一時金は申請すれば、直接病院に支払うことも可能です。
妊娠4か月(85日)以上での死産や流産の場合も、支給対象となります。この制度を利用する際は、申請書類に出産した病院での証明が必要となるため、入院時に申請書類を持参するようにしましょう。
2.出産手当金
出産手当金は、産休中に給与が支払われない場合、健康保険から支給される給付金です。この手当は、出産する方の収入に応じて異なり、職場復帰の予定がある方が対象となります。
具体的には、妊娠4か月以降に出産した方が対象で、支給額は産休取得日数に基づいて算出されます。計算方法は、支給開始日前12か月間の標準報酬月額の平均を30日で割り、その2/3に産休日数を掛けた金額です。
また、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトの方も勤務先の健康保険に加入していれば対象になります。
育児中にもらえるお金
次に、育児中にもらえるお金について解説します。
- 育児休業給付金
- 出生時育児休業給付金
- 児童手当
- 児童扶養手当
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.育児休業給付金
育児休業は、子どもが1歳になる前日まで取得が可能ですが、特別な事情がある場合は1歳6か月まで延長可能です。この期間中は、育児に集中できるように育児休業給付金が支給されます。
具体的には、休業開始から6か月間は前職の給与の67%が支給され、その後は50%に減額されます。この条件を満たすためには、雇用保険に加入し、育休取得前2年間で月11日以上勤務していた月が12か月以上なければなりません。
2.出生時育児休業給付金
出生時育児休業給付金は、男性が子どもを養育するために出生時育児休業を取得した場合に限り、休業開始前の給与の67%が支給される制度です。対象者は、「産後パパ育休」とも呼ばれている、出生時育児休業を取得する男性です。
出生時育児休業を取得している期間中でも、特定の条件を満たせば、育児の合間の仕事が許可されています。しかし、休業は子どもの出生後8週間以内に取得しなければなりません。
3.児童手当
児童手当は、0歳から中学校卒業までの子どもを養育している家庭に対して支給される国の支援金です。3歳未満の子どもには月額15,000円、3歳から小学校終了前までは第1子および第2子に対して月額10,000円、第3子以降には月額15,000円が支給されます。
中学生には一律月額10,000円が支給されますが、所得制限が設けられており、制限を超える世帯には月額5,000円の特例給付が適用されます。受給するためにはそれぞれの自治体に認定請求書を提出する必要があり、毎年6月には現況届の提出をしなければなりません。
4.児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親家庭の経済的支援を目的とした制度で、子どもが18歳に達する年度末まで支給されます。支給額は、全額支給の場合月額44,140円、一部支給の場合月額10,410円~44,130円までです。
さらに、子どもが複数いる場合は追加で支給される金額も増加します。受給資格には所得制限があり、申請者の所得や受け取っている養育費により支給額が異なります。そのため、手続きや詳細については、それぞれの市区町村の窓口で確認しましょう。
その他の経済支援制度
次に、その他の経済支援制度について解説します。
- 医療費助成
- 医療費控除
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.医療費助成
地方自治体の多くが医療費助成制度を提供しています。たとえば、赤ちゃんが病気になった場合、「乳幼児医療証」を病院で提示すれば、医療費が無料になるか、あるいは定額で受診が可能です。
また、医療費の後日還付という形で支援が受けられる場合もあります。「乳幼児医療証」は、出生届を提出し、健康保険への加入手続きを済ませると、自治体から送付されるのが一般的です。
ただし、自治体によっては、医療証の交付対象年齢や所得制限に差があるため、自分が住む地域の条件を事前に確認するようにしてください。
2.医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定の基準を超えた場合に利用可能な税金の控除制度です。この制度は、妊娠や出産に関わる高額な医療費にも適用されるため、経済的な負担を軽減する手段の1つです。
具体的には、1月1日〜12月31日の間に自己負担で10万円以上の医療費を支払った場合、またはその金額が年収の5%を超えた場合に控除を受けられます。控除を申請するには、確定申告が必要なため、支払った医療費の領収書を集めて、年度終了後の申告期間に税務署に提出しなければなりません。
また、出産育児一時金や保険からの給付金は差し引かれるため、実際に自己負担した金額が控除の対象となります。
出産後にもらえるお金でよくある3つの質問
最後に、出産後にもらえるお金でよくある質問について解説します。
- 質問1.妊婦検診費の助成は引っ越しが決まった場合はどうなる?
- 質問2.出産にはいくらかかるの?
- 質問3.出産後にかかる費用は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.妊婦検診費の助成は引っ越しが決まった場合はどうなる?
妊婦検診費の助成制度は、自治体ごとに異なります。引っ越しをした場合、以前の自治体で発行された受診票や補助券は新しい自治体では使用できません。
しかし、転居前に発行された未使用の補助券を新しい自治体の役所に提出すれば、新しい自治体で利用できる補助券に交換が可能です。引っ越しが決まった際には、未使用の補助券を捨てずに、保管しておきましょう。
なお、出産前後での引っ越しについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:出産前と出産後のどちらが引っ越しに向いている?必要な手続きや転院のポイントをご紹介!
質問2.出産にはいくらかかるの?
出産にかかる費用は、さまざまな要因により大きく異なります。公益社団法人「国民健康保険中央会」が提供するデータによると、正常分娩で6日間入院した場合の平均的な費用の内訳は、以下のとおりです。
- 入院料:112,726円
- 室料差額:16,580円
- 分娩料:254,180円
- 新生児の管理保育料:50,621円
- 検査や薬剤料:13,124円
- 処置や手当料:14,563円
- 産科医療補償制度にかかる費用:15,881円
- その他の費用:28,085円
これらを合計すると、平均的な出産費用は505,759円となります。しかし、あくまで平均値であり、使用する産院や出産方法、入院日数によって費用は異なります。
また、深夜に出産する場合や特別な個室を利用する場合には追加料金が発生するため、具体的な費用は事前に産院に問い合わせましょう。
参考:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)|公益社団法人「国民健康保険中央会」
質問3.出産後にかかる費用は?
出産後にかかる費用は多岐にわたり、家庭によって大きな差があります。一般的な費用の目安は、以下のとおりです。
- お祝い返し
受け取ったお祝いの半分程度を返すのが一般的なため、平均で7万円~8万円程度かかる
- ベビー用品
寝具やおもちゃ、衣類に約15万円で、おむつや生活用品に約10万円かかる
- 食費
母乳育児でもミルクの準備が必要となる場合がある。離乳食開始後の追加費用も含め年間で6万円~7万円程度が必要になる
- 保険や貯金
子どもの将来や教育のために、年間で10万円~15万円の貯蓄や保険加入が推奨される
これらの費用は、出産後の初年度に必要なもので、育児の経済的な負担は時間とともに変化します。助成金や育児手当などの公的支援を上手に利用し、費用の負担を軽減しましょう。
まとめ
本記事では、妊娠中や出産後、育児中などの場面ごとに利用できる経済支援制度をご紹介しました。
それぞれのタイミングで国や自治体などが、経済支援制度を実施しています。制度によっては、自治体ごとに支援の内容や対象、提出方法などが異なるため、事前に調べて確認しておきましょう。
妊娠から育児に至るまで、少しでも経済的な負担が軽減できるように、これらの制度の利用をおすすめします。
なお、出産でお祝いをいただいた場合は、内祝いも忘れないように準備しておきましょう。
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