退職を考える際、適切なタイミングで退職すれば給与やボーナスを最大限に受け取れる一方、知識不足による判断ミスで損をしてしまうケースも少なくありません。
本記事では、給与計算の仕組みから社会保険の切り替え、税金対策まで、退職日選びで「損をしない」ための具体的なポイントを解説します。転職が決まっている方も未定の方も、後悔しない退職日の決め方をマスターして、次のキャリアへスムーズに移行しましょう。

退職日を決める前に知っておくべき基本事項

参考:民法第627条第1項
退職を考える際にまず知っておきたいのが「法律で定められた退職予告期間」と「会社の就業規則」の違いです。民法第627条第1項では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の意思表示は2週間前までに行えば有効とされています。
これが法律上の最低ラインです。一方、多くの企業では「1ヶ月前」や「3ヶ月前までに申し出ること」と就業規則に記載されていますが、これらには法的強制力はありません。ただし、円満な退職を望むなら、引き継ぎや業務の都合を考慮し、可能な範囲で会社のルールに配慮してください。
関連記事:退職の申し出はいつまでにするべき?スケジュールの目安や円満退職のポイントをご紹介!
金銭面で損をしない退職日の4つの選び方
退職日の決め方によって損得が変わります。賢い選択のポイントをご紹介します。
1.月初と月末:どちらが得なのか比較
退職日を月末にするか月初にするかで、社会保険料や給与への影響が大きく異なります。月末退職は、会社の社会保険が退職日まで適用され、給与や賞与の算定に有利な場合が多い一方、保険料は給与から引かれます。
対して月末の1日前に退職すると、その月の社会保険料が発生しないため手取りが増える場合もありますが、退職翌日から国民健康保険や年金に全額自己負担で加入が必要です。転職時期や扶養状況などにより、どちらが得かは人それぞれ。自身の状況に合った選択が大切です。
2.給与計算の締め日を意識した退職日設定
給与計算には「締め日」があり、この日を基準に支給額が決まります。たとえば月末締めの場合、月末退職なら給与は満額支給されますが、月途中退職だと日割り計算になり収入が減ります。
また、退職日によって社会保険料の発生も異なり、月末退職だと翌月分まで保険料が発生します。一方、月途中退職ならその月までの保険料で済みます。加えて、会社が「当月控除」か「翌月控除」を採用しているかによっても、最終給与からの控除額が変わるため、事前に確認しておくと安心です。
3.有給休暇を最大限活用する方法
退職時に有給休暇を最大限活用するには、計画的な取得が大切です。残日数をもとに最終出社日を逆算し、祝日や週末と組み合わせれば、少ない日数でも長期休暇を確保できます。
ボーナスの出勤率や社会保険料の発生タイミングも考慮し、有利なタイミングで退職日を設定すると、金銭的なメリットも得られます。有給はただ消化するのではなく、計画を立てて使えば大きな価値を生み出します。
4.ボーナス支給日との関係性を考慮したタイミング
ボーナスを確実に受け取るには、支給日在籍条項の有無と支給タイミングを考慮した退職日設定が重要です。多くの会社では「支給日に在籍していない場合は支給対象外」と定めており、たとえば7月10日が支給日なら、退職日は7月11日以降にする必要があります。
また、算定期間(通常は支給の半年前)を把握しておきましょう。さらに、退職の意思表示を早くしすぎると、会社側がボーナス支給を見送る可能性もあるため、支給後に退職の意向を伝える方が安全です。就業規則は必ず事前に確認しましょう。
関連記事:退職の意思をメールで伝えるのは問題ない?メールで伝える際の注意点やよくある質問をご紹介!
社会保険・税金から考える4つの退職日
退職日の選び方は社会保険や税金の面でも大きな影響を与えます。以下で解説していきます。
1.健康保険の切り替えを円滑に行うためのタイミング
基本的に、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険などへの加入手続きを行う必要があります。この期間内に手続きを終えると、医療費が全額自己負担となるリスクを回避できるでしょう。
退職日は健康保険証の返却日であり、翌日が新たな保険加入資格の発生日となります。特に月末退職であれば、翌月1日から国保へスムーズに切り替えやすく、日程も管理しやすくなります。
切り替えの際には、退職前に会社へ「健康保険資格喪失証明書」の発行予定日を確認しておきましょう。この証明書は市区町村での加入手続き時に必要となりますが、自治体によっては即日発行ができないケースもあるため、余裕を持った準備が望まれます。
万が一、証明書の発行が間に合わなくても、窓口で相談すれば仮の保険証を発行してもらえる場合もあるため、焦らず対応しましょう。
2.年金保険料の二重払いを避ける方法
退職日を月末に設定すると、前月分と当月分の厚生年金保険料が同時に控除され、負担が一時的に重くなる場合があります。これは給与の締め日と支給日の関係によるもので、いわゆる「年金の二重払い」です。
これを避けるには、月末の1日前(30日など)や月中(15日頃)の退職が効果的です。ただし、同月内に再就職して厚生年金に再加入した場合は、先に支払った保険料が還付されるケースもあるため、退職前に会社へ確認しておくと安心です。
3.雇用保険(失業給付)を最大限受け取るための退職日設計

参考:雇用保険手続きのご案内
受給資格として、自己都合退職の場合は離職前の2年間に12か月以上、会社都合退職の場合は1年間に6か月以上の被保険者期間が必要です。特に注意が必要なのが自己都合退職で、退職後7日間の待機期間に加えて、さらに3か月の給付制限があるため、給付開始までに時間がかかります。
そのため、生活費の準備や退職時期の調整が必要です。反対に、会社都合退職であれば、給付制限がなく比較的早く給付が開始されます。加えて、早期に再就職した場合は、失業給付の一部を一時金として受け取れる「再就職手当」の対象となる可能性もあります。
こうした制度を活用するには、退職後の保険や生活設計も視野に入れた、計画的な退職日設定が求められます。
4.税金面で有利になる退職月の選び方
住民税は前年の所得に基づき、翌年6月から1年かけて納付するため、1月〜5月に退職すると残額を一括で徴収されるケースがあり、資金面での備えが必要です。また、12月に退職すれば会社が年末調整を行ってくれるため、自分で確定申告をする手間が省けるというメリットがあります。
反対に1月退職では年末調整が受けられず、確定申告が必要になる点に注意しましょう。さらに、退職所得控除は勤続年数に応じて増額され、年をまたぐだけで1年分加算されるため、12月か1月かで迷う場合は控除額も判断材料になります。
たとえば、6月退職であれば住民税の特別徴収が始まったばかりで一括納付の負担が軽く済み、12月退職なら年末調整の恩恵を受けられるなど、目的に応じた退職月の選定が賢明です。
転職状況別の退職日の決め方
退職日の設定は転職状況によって最適な方法が異なります。状況別のポイントを押さえましょう。
転職先が決まっている場合の理想的なタイムライン
転職先が決まっている場合、社会保険の切れ目を作らないためには、入社日の前日を退職日とするのが理想です。このスケジュールを取れば、国民健康保険や国民年金への一時的な加入が不要となり、保険手続きの手間や自己負担を回避できます。
さらに、厚生年金・健康保険ともに会社負担が継続されるため、保険料の節約にもつながります。スムーズな切り替えには、約2か月前から退職の意向を伝え、1.5か月前には退職願を提出して引継ぎを開始、退職日直前には備品の返却や必要書類の受領を済ませておくと安心です。
ただし、入社前に休息期間を設けたい場合は、その間の社会保険加入(国保・国民年金)と費用をあらかじめ想定し、計画的な退職日の調整が大切です。制度を正しく理解し、自身のライフプランに合った退職スケジュールを立てましょう。
転職先が未定の場合のリスクヘッジ戦略
転職先が未定のまま退職する場合は、慎重な準備とリスクヘッジが欠かせません。まず、生活の安定を保つために最低でも3か月分の生活費を確保し、失業給付の受給条件や支給額を事前に確認しておきましょう。
退職金が支給される場合は、その受け取り時期も踏まえて退職日を調整すると、資金計画が立てやすくなります。退職日を決める際は、求人が活発になる時期に合わせたり、心身のリフレッシュ期間を確保できる日程に設定したりするのも有効です。
また、自己都合退職でも失業給付の条件を満たせるよう、退職理由の整理も忘れずに行いましょう。在職中に転職活動を進めておくことで、経済的なリスクを抑えつつ、退職後すぐに動き出すことが可能になります。
独立・起業を控えている場合の資金計画と退職時期
独立や起業を予定して退職を考える場合、退職時期の選定には生活資金の確保と開業準備のバランスが不可欠です。まず、独立後はすぐに安定した収入が得られないのを前提に、最低でも半年、理想は1年分の生活費を確保しておくと安心です。
ボーナスの支給タイミングに合わせて退職月を調整すれば、資金面での余裕も生まれます。また、失業保険を活用するかどうかによっても動き方は異なります。
失業給付を受けるには開業届の提出を退職後しばらく控える必要がありますが、その分事業開始が遅れる可能性もあるでしょう。一方で、すぐに開業すればスムーズに事業を立ち上げられる反面、失業保険は受給できなくなります。
どちらを優先するかは、資金状況や事業の進捗度によって見極めましょう。さらに、退職前から顧客開拓や事業計画の立案など、できる準備を整えておけば、独立後のスタートをより安定させられるでしょう。
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退職日の決め方でよくある質問3つ
退職日の決め方に関してよくある質問を3つにまとめました。
質問1.育児休業や産前産後休業中に退職する場合、特に注意すべきタイミングはありますか?

参考:育児休業制度
育児休業や産前産後休業中に退職を検討する場合は、健康保険や給付金への影響を十分に理解しておきましょう。産休中に退職すると、原則として出産手当金は退職日以降分が受給できなくなるため、産後56日が経過してからの退職が理想的です。
また、育児休業給付金は退職と同時に打ち切られるため、給付の主要期間(180日間の67%支給など)が終了するタイミングでの退職が有利です。さらに、保育園の4月入園を希望する場合、前年10〜11月に退職して「求職中」として申請すれば、優先度が上がる自治体もあります。
加えて、退職金の課税額は年間収入によって変わるため、収入が少ない年に受け取ると税負担を抑えられる場合もあるでしょう。退職を決める前に、給付金や税金、保育園制度などを総合的に確認し、最も有利なタイミングを見極めてください。
質問2.会社都合の退職と自己都合の退職で、退職日の選び方に違いがあるのでしょうか?
会社都合と自己都合の退職では、退職日の選び方に違いがあります。会社都合の場合は、失業給付がすぐに開始され、給付額や期間も優遇されるうえ、退職金が割増になるケースもあります。
退職日の交渉や有給消化の柔軟性も比較的高いのが特徴です。一方、自己都合退職では3ヶ月の給付制限があるため、次の就職先の入社日から逆算して退職日を決めるのが得策でしょう。
また、ボーナスや社会保険料の影響も考慮し、自分にとって有利な日を選びやすいのもメリットです。いずれの場合も、退職理由の記載内容や退職日が社会保険や失業給付に関わるため、慎重に調整しましょう。
質問3.副業収入がある場合、退職日の決め方に影響はありますか?
副業収入がある場合、退職日は税金や社会保険の負担に大きく影響します。たとえば年の前半に退職すれば本業の所得が抑えられ、副業収入の課税率が下がる可能性があります。
また、本業を退職すると社会保険は自動で脱退となり、副業のみでは加入できないため、国保や国民年金への切り替えが必要になります。住民税も給与天引きから自分で納付する「普通徴収」に変わるため、納税資金の準備も忘れずにしてください。
まとめ
退職日の選択は経済面で大きな影響を与えます。本記事では、給与計算の仕組み、有給休暇の活用法、ボーナス支給との関係、社会保険の切り替えなど、退職日決定の重要ポイントを解説しました。
退職届の提出、業務引き継ぎ、必要書類の確認を計画的に行い、次のキャリアへスムーズに移行しましょう。
なお、こだわりギフト専門店「晴日和松吉商店(はれきち)」では、瀬戸内地方(主に岡山県、香川県、愛媛県)の厳選した安心・安全なオーガニック商品をオリジナルのギフトパッケージにて販売しております。名入れのオプションサービスも提供していますので、ぜひご利用ください。⇒こだわりギフト専門店「晴日和松吉商店(はれきち)」
