仕事でのミスや近隣トラブルなど、相手に謝罪しなければならない場面では、言葉だけでなく品物を持参する場合も少なくありません。しかし、「水引はどれ?」「表書きはどう書くの?」など、いざとなると迷ってしまう方も多いものです。
この記事では、お詫びの気持ちを正しく伝えるための「のし」の書き方について、基本から分かりやすく解説します。シーン別の使い分けやよくある質問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧いただき、いざという時に備えてください。
お詫びの品にかける「のし」の基本マナー
お詫びの気持ちをきちんと伝えるためには、品物にかける「のし」にも細やかな配慮が必要です。ここでは、謝罪の際に使う「のし」の基本的なマナーについて解説します。
1.水引は「結び切り」を選ぶ
お詫びの際に使う水引は「二度と繰り返さない」という意味を込めて「結び切り」を選びます。結び目が固く結ばれていて、簡単にはほどけないため、一度きりが望ましい出来事に用いられます。
また、色は「白黒」や「双銀」の水引が一般的です。関西地方など一部地域では「黄白」の水引が使われる場合もあります。
一方で、蝶結び(花結び)は何度でも結び直せる特徴があります。出産祝いやお中元など「何度あっても嬉しいこと」に用いられるため、謝罪の場面では絶対に使用しないでください。
2.表書きは「お詫び」や「深謝」と書く
水引の上段中央に書く表書きは、謝罪の意図が明確に伝わる言葉を選びます。一般的な表書きは、「お詫び」です。より深い謝罪の気持ちを伝えたい場合は「深謝(しんしゃ)」や「陳謝(ちんしゃ)」と書く場合があります。
ビジネスシーンで商品不良やシステムトラブルなど原因がはっきりしている場合、「粗品」としてお渡しするケースもあります。しかし、相手に軽い印象を与える可能性もあるため、基本的には「お詫び」と書くのが無難です。
いずれの表書きも、濃墨の筆や筆ペンを使い、楷書で丁寧に書きましょう。
3.名前は個人名または会社名を入れる
水引の下段中央には、贈り主の名前を表書きよりも少し小さめに書きます。
- 個人の場合
姓のみ、またはフルネームを記載する
- ビジネスシーン
会社名を書き、その右側に少し小さく代表者の役職と氏名を書く
- 複数人で謝罪に伺う場合
代表者一名の名前を記載する
いずれも名前も表書きと同様に、濃墨の筆や筆ペンで、楷書で書きましょう。
4.のしの掛け方は「内のし」にする
のし紙の掛け方には、品物に直接のしを掛けてから包装紙で包む「内のし」と、品物を包装した上からのしを掛ける「外のし」があります。お詫びの品を渡す際は、相手に控えめな印象を与え、気持ちを穏やかに伝えるために「内のし」が一般的です。
また、渡す際は手提げ袋から品物を取り出します。そして、相手の正面からのし紙の表書きが読める向きにして、謝罪の言葉と共に両手で渡すのが正式なマナーです。相手の状況を考慮し、誠意が伝わるように丁寧な振る舞いを心がけましょう。
【シーン別】お詫びの品に使う「のし」の書き方2パターン
お詫びの「のし」の書き方は、基本的なマナーは同じですが、謝罪する相手や状況によって少しずつ配慮するポイントが異なります。ここでは、個人のトラブルとビジネス上の謝罪という、2つの代表的なシーンに分けて具体的な書き方を解説します。
1.個人的なトラブルの場合
ご近所への騒音トラブルや、借りていたものを壊してしまった場合など、個人的な謝罪の場面では、誠意が伝わることが何よりも大切です。表書きは「お詫び」として、水引の下には自分のフルネームを記載しましょう。
相手に大げさだと感じさせないよう、品物は3,000円〜5,000円程度の菓子折りなどが適切です。渡す際は、真摯に謝罪の言葉を述べ、「心ばかりですが」と一言添えて品物を渡します。
2.ビジネスシーンでの謝罪の場合
納期遅延や商品不良、クレーム対応など、ビジネスシーンでの謝罪は、今後の取引関係にも影響する大切な場面です。マナー違反は、会社の信用を損ないかねません。
- 表書き
「お詫び」や、より丁寧な「深謝」「陳謝」を使用する
- 名前
会社名を中央に大きく書き、その右側に役職と氏名を書く
品物を持参する際は、まず上司に報告して、誰がどのような立場で謝罪に伺うのかを明確にしておく必要があります。訪問前には必ずアポイントを取り、相手の都合のよい時間に伺いましょう。
お詫びの品で注意すべきポイントは3つ
お詫びの気持ちを伝えるためには、適切な「のし」を掛けるだけでなく、品物の選び方や渡し方にも配慮が必要です。ここでは、相手に不快感を与えず、誠意を正しく伝えるために押さえておきたい注意点を解説します。
1.品物の選び方
お詫びの品は、相手が受け取って負担に感じない「消えもの」が基本です。菓子折りや焼き菓子、お茶、コーヒーなどが定番で、日持ちのする個包装のものを選ぶと、相手先の都合で分けやすいため親切です。
一方で、現金や商品券は「これで解決してほしい」という直接的な意味合いに取られかねず、失礼にあたるため避けましょう。また、相手の趣味が分からない限り、あとに残る置物も避けてください。
2.品物の金額相場
品物の金額が高すぎると、相手に「物で解決しようとしている」という印象を与えたり、かえって気を遣わせてしまったりする可能性があります。一方で、安すぎても誠意が伝わりません。
一般的な相場としては、3,000円〜10,000円程度とされています。しかし、これは目安であり、謝罪の内容や相手との関係性によって調整が必要です。
たとえば、個人の小さなトラブルであれば3,000円〜5,000円、ビジネスでの重大なミスであれば10,000円程度の品物を用意するなど、状況に応じて判断しましょう。
3.渡すタイミングと言葉遣い
基本的には、訪問してすぐではなく、まず謝罪の言葉を尽くして、相手が謝罪を受け入れてくれたあとに渡すのがマナーです。場の雰囲気や相手の様子をうかがいながら、「こちら、心ばかりのお詫びのしるしでございます」といった言葉を添えて、丁寧に渡しましょう。
焦って最初に品物を突き出すと、言い訳のように感じられたり、誠意が伝わりにくくなったりする場合があるため注意が必要です。
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お詫びの品 のしでよくある3つの質問
ここでは、お詫びの品の「のし」に関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。マナー違反を避けるためにも、細かい疑問を解消しておきましょう。
質問1.そもそも「のし」を付けないと失礼にあたりますか?
必ずしも「のし」を付けなければならない訳ではありませんが、ビジネスシーンや目上の方へのお詫びの場合は、丁寧な印象を与えるために「のし」を掛けるのが一般的です。改まった気持ちや謝罪の意を明確に示すための形式と捉えましょう。
また、親しい間柄での小さなお詫びであれば、リボンやシールで対応しても問題ない場合もありますが、判断に迷う場合は「内のし」を掛けておくほうが無難です。
質問2.墨の色は「薄墨」で書くべきですか?
お詫びの「のし」には、濃墨の筆や筆ペンを使用するのが正しいマナーです。「薄墨」は「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」という意味合いで、お香典など弔事の際に使われます。
謝罪は弔事とは異なるため、薄墨を使うのは間違いです。お詫びの気持ちをはっきりと示すためにも、黒々とした濃墨で丁寧に書きましょう。
質問3.デパートや通販で「のし」を依頼するときの注意点は?
デパートやギフト専門店、オンラインショップなどで品物を購入する際は、用途が「お詫び」であると明確に伝えましょう。店員や注文フォームの担当者が、用途に合わせて適切な「のし」の種類(水引の色や結び方)を選んでくれます。
表書きや名入れについても、「表書きは『お詫び』で、名前は〇〇でお願いします」と具体的に伝えましょう。指定しないと、一般的な贈答用の「蝶結び」ののしになってしまう可能性があるため注意が必要です。
まとめ
お詫びの品に掛ける「のし」は、相手への敬意と謝罪の気持ちを形にするための大切なツールです。水引は「白黒」または「双銀」の「結び切り」を選び「二度と繰り返さない」という意思を示します。
表書きは「お詫び」や「深謝」とし、名前は濃墨で丁寧に記載しましょう。掛け方は、控えめな印象を与える「内のし」が一般的です。
また、「のし」だけでなく、品物選びや渡すタイミング、言葉遣いなど一連の行動が、誠意を伝える要素となります。この記事で解説した基本マナーを押さえ、相手に真摯な気持ちが伝わるよう心を込めて対応するのが、その後の良好な関係を築くための第一歩です。
いざという時に慌てないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
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